はじめに
子どもによって、音・光・触覚・味・匂いなどの刺激に対する感じ方は異なります。特に発達障害のある子どもは、感覚の処理が過敏(強く感じすぎる)または鈍麻(感じにくい)になりやすく、日常生活で困りごとを抱えることがあります。
感覚過敏や鈍麻があると、生活やコミュニケーションが難しくなることも。そのため、子どもに合わせた感覚統合支援を行い、快適に過ごせる環境を整えることが大切です。
本記事では、感覚過敏・鈍麻とは何か、具体的な困りごと、子どもに合わせた支援方法について解説します。
1. 感覚過敏・鈍麻とは?
🔹 感覚過敏(過敏すぎる)
日常的な刺激に対して過剰に反応する状態を指します。
| 感覚の種類 | 感覚過敏の特徴 |
|---|---|
| 聴覚(音) | 大きな音や特定の音が苦手(掃除機、トイレの流れる音、雷など) |
| 視覚(光) | 明るすぎる光が苦手、ちらつく光に敏感 |
| 触覚(皮膚の感覚) | 衣服のタグや特定の素材を嫌がる、人と触れ合うのを嫌がる |
| 味覚(食べ物の感覚) | 特定の食感や味が苦手(柔らかすぎるもの、苦いものなど) |
| 嗅覚(匂い) | 香水や食べ物の匂いに敏感で気分が悪くなることがある |
| 前庭感覚(バランス) | 乗り物酔いしやすい、揺れる動きが苦手 |
| 固有受容覚(体の位置感覚) | 体の動きをコントロールしづらい、転びやすい |
🔹 感覚鈍麻(鈍すぎる)
感覚の刺激に対して反応が鈍い状態を指します。
| 感覚の種類 | 感覚鈍麻の特徴 |
|---|---|
| 聴覚(音) | 大きな音に気づかない、呼ばれても反応しづらい |
| 視覚(光) | 暗い場所でも平気、細かい動きに気づきにくい |
| 触覚(皮膚の感覚) | 転んでも痛がらない、汚れていても気にならない |
| 味覚(食べ物の感覚) | 濃い味や辛いものを好む、熱い食べ物でも平気 |
| 嗅覚(匂い) | 強い臭いに気づかない、不快な匂いでも平気 |
| 前庭感覚(バランス) | 高い場所でも怖がらない、回転運動を好む |
| 固有受容覚(体の位置感覚) | 力加減が難しく、物を壊しやすい |
2. 感覚過敏・鈍麻がある子どもの困りごと
感覚の特性によって、日常生活や人間関係に影響が出ることがあります。
🔹 学校や家庭での困りごと
- 音に敏感で授業に集中できない(感覚過敏)
- 給食の匂いや食感が苦手で食べられない(感覚過敏)
- 転んでも痛がらず、ケガに気づかない(感覚鈍麻)
- 物の力加減が分からず、おもちゃを壊してしまう(感覚鈍麻)
🔹 人間関係での困りごと
- 手をつなぐのを嫌がるため、友達と遊びにくい(感覚過敏)
- 相手の強さが分からず、遊びの中で手荒くなってしまう(感覚鈍麻)
感覚の困りごとは、「わがまま」「やる気がない」と誤解されることがあるため、周囲の理解が大切です。
3. 子どもに合わせた感覚統合支援の方法
🔹 感覚過敏の子どもへの支援
📌 音に敏感な場合(聴覚過敏)
✅ イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを活用する
✅ 学校では静かな環境(廊下側の席、静かな部屋)を用意してもらう
📌 肌触りを嫌がる場合(触覚過敏)
✅ タグを切る・柔らかい素材の服を選ぶ
✅ 歯磨きや髪をとかすのが苦手な場合は、優しく圧をかけて刺激を減らす
📌 食べ物の食感が苦手な場合(味覚過敏)
✅ 無理に食べさせず、好きな食感に似たものを探す
✅ 「この形なら食べられる」など、食べやすい方法を試す
📌 匂いが気になる場合(嗅覚過敏)
✅ 強い匂いのする場所を避ける(調理の匂いが苦手なら換気をする)
✅ 好きな香り(アロマや柔軟剤)を使って安心感を与える
🔹 感覚鈍麻の子どもへの支援
📌 音に気づきにくい場合(聴覚鈍麻)
✅ 視覚的なサイン(ジェスチャーやカード)を使って呼びかける
✅ 大きな声ではなく、近づいて話す
📌 痛みに鈍い場合(触覚鈍麻)
✅ 「痛かったね」と言葉で伝えて、感覚を意識させる
✅ マッサージや圧をかける遊びを取り入れる
📌 力加減が難しい場合(固有受容覚鈍麻)
✅ 風船やスポンジボールを使って、優しく触る練習をする
✅ 「ギュッとする」「そっとする」など、力加減の言葉を教える
📌 バランスが取りにくい場合(前庭感覚鈍麻)
✅ トランポリンや平均台でバランスを取る練習をする
✅ ゆっくり回るブランコやボール運動で刺激を与える
4. まとめ
感覚過敏・鈍麻は、個性の一つであり、周囲の理解と支援があれば快適に過ごすことができます。
✅ 感覚の違いを理解し、無理に克服させようとしない
✅ 苦手な感覚は環境調整で対処する(イヤーマフ、服の素材、食事の工夫など)
✅ 鈍麻がある場合は、少しずつ感覚を意識させる練習をする
それぞれの子どもに合った方法を見つけ、無理なく安心して生活できる環境を整えていきましょう。